親なるもの断崖 第1部 (宙コミック文庫)

親なるもの断崖 第1部 (宙コミック文庫)

親なるもの断崖 第2部 (宙コミック文庫)

親なるもの断崖 第2部 (宙コミック文庫)

 社会の底辺で生きる者たちを蔑視し その人格人間性を否定し無視しながらも そういう者たちを不可欠とする 矛盾だらけの社会の側面がある

 まるで遠くからおしよせてくるように おれの生命の底から湧きあがるもの 
 おれは自分を信じてそれに従って行動している

 これがあたり前だと思うな 無学でいることを 自分が女郎でいることに疑問を持て! おまえが今の時代そのものだ! 今の社会そのものなのだ! 女性とはすばらしいものだ 男にはとうていかなわない強さがある きっとおれはおまえをここから出してやる! おれといっしょにいきるんだ!! 忘れるな!次の時代を産み出すのは女性だということを! どんなに苦しくても耐え抜いて生きた人間がいたからこそ 次の時代と文化が生まれてきたのだ! その本流は女性だ!! 本流は女性だ!!

 満州事変 日中戦争 そして太平洋戦争 それらを総称して十五年戦争と呼ばれる 日本人のほとんどがこの戦争に加担し協力して戦った
 当時戦争に反対した国民は少なく それは「非国民」と呼ばれ 国家権力により ほとんどが抹殺されていった 指導者の命令とはいえ 戦争に協力し 数々の残虐行為を行った人たちの多くは民衆であった その民衆とは 自分の父であり 愛するひとである 
 平和な時代に 妻を愛し 子供をいくつしみ 平穏な生活を送っている人々が 帝国主義軍国主義の思想にとりつかれいったん戦場に立つと魔性の人間に豹変する そこに戦争のもつ恐ろしさがある それが同民族同じ国民にも容赦しない 間違った思想を生み信じることほど恐ろしいものはない

 口に出しては言えない言葉がある 言葉にならない苦しい思いがある だけどいつか問うてみなければならない過去がある 悲しい出来事がある